2026年に入り、東京の不動産市場にはこれまでとは少し異なる動きが見られるようになりました。以前は「東京の不動産価格は上がり続ける」という見方が一般的でしたが、最近ではエリアごとに価格の動きが分かれ始めています。
まず、東京都全体で見ると、地価そのものは依然として上昇基調です。東京都が公表した令和8年の地価公示では、住宅地・商業地ともに前年を上回り、多くの地点で価格上昇が続いています。特に都心部や再開発エリアでは、海外投資家や企業需要が引き続き強く、地価を押し上げています。
一方で、中古マンション市場には変化が見え始めました。不動産市場の分析では、2026年春頃から東京都の中古マンション成約価格が調整局面に入り、特に都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の高額物件では価格が下落するケースも確認されています。これは価格が急激に下がったというよりも、これまで急騰していた高級物件が適正価格へ戻り始めたと考えられます。
その背景には、いくつかの要因があります。
第一に、日本銀行の金融政策や住宅ローン金利の上昇です。これまでの超低金利環境では高額物件でも購入しやすい状況でしたが、金利上昇により購入者の負担は徐々に増えています。
第二に、売り出し価格と実際の成約価格の差が広がっていることです。現在は売主が強気の価格設定を続ける一方、買主は慎重になっており、価格交渉を経て成約するケースが増えています。つまり、「希望価格では売れないが、適正価格なら取引される」という市場へ変化しつつあります。
しかし、東京全体が値下がりしているわけではありません。山手線沿線や駅徒歩5〜10分以内、築浅マンション、再開発エリアなどは依然として人気が高く、価格も比較的安定しています。反対に、郊外や築年数の古い物件、競争力の低い立地では価格調整が進む可能性があります。
海外投資家の需要も引き続き東京市場を支える重要な要素です。円安の影響により、日本の不動産は海外から見ると依然として割安感があり、中国をはじめとするアジアの投資家からの関心は高い水準を維持しています。
総合的に見ると、2026年の東京不動産市場は「全面的な下落」ではなく、「選別の時代」に入ったと言えるでしょう。今後は立地、築年数、管理状況、再開発計画などによって価格差がさらに広がる可能性があります。不動産を購入・売却・投資する際には、「東京だから安心」という考えではなく、個々の物件の資産価値を丁寧に見極めることが、これまで以上に重要になるでしょう。
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